ゲーム大手のスクウェア・エニックスは、第一四半期決算報告で、2022年の長期経営戦略としてNFTをより多くのゲーム製品に展開することを明らかにしました。
スクウェア・エニックスはブロックチェーンゲームへのインフラ投資により、強固なNFTエコシステムを含む事業戦略を構築しようとしています。
一部IPとゲームスタジオを3億ドルで売却
スクウェア・エニックスは、ブロックチェーン、AI、クラウド分野への投資を進めるために、IPと3つのゲームスタジオをEmbracer Group に3億ドルで売却することを発表しました。
一方で、NFTゲームに関連するいくつかの新ゲームスタジオを開設することも発表します。
売却されるIPの一覧
- Crystal Dynamics
- Eidos Montreal
- Square Enix Montreal
- Deus Ex
- Tomb Raider
- Thief
- Legacy of Kain
スクウェア・エニックスのNFTゲームに対する計画は、暗号資産の暴落、NFTの価値と関心の低下という状況下で発表され、海外メディアでは、今後の展望を不安視する報道が多いです。
現状のスクウェア・エニックス
スクウェア・エニックスは、今年の2月時点で、すでにブロックチェーンエンターテインメント事業部を設立しています。
「資産性ミリオンアーサー」という第一弾NFTトレーディングカードゲームを今年の2月に試験的にリリースしました。先日、「資産性ミリオンアーサー」の第2弾がリリースされました。
今後、NFT事業では、収益構造、遊びの幅、NFTの所有体験をより総合的に探っていくとのことです。
事業計画
報告書では、ブロックチェーン、AI、クラウドへの投資と収益化を、中期事業戦略の3番目の目標として掲げています。これは、一月に松田洋祐CEOがそれらの技術への関心をを強める意向を示したことと一致します。
- ブロックチェーンゲームのガイドラインを策定
- NFTエコノミクスで、スケーラビリティ(規模拡張)に挑戦
- ファンジブルトークンの発行と、それに基づく収益構造をデザイン
- 企業ベンチャーユニットの設立を検討
- 自社トークンの発行、管理、投資を行う海外法人の設立
- NFTをベースにした新しいブランド、IPを立ち上げ
今後、どのようなゲームがリリース化されるかなどの詳細は決まっていないようですが、本格的に参入する準備をしていることが伺えます。
一番の注目は、大規模のゲームトークンエコノミクスの構築です。スクウェア・エニックスから独自トークンが販売されるの時期は、明らかになっていませんが期待大です。
Animo Brands・The SandBoxとの提携
スクウェア・エニックスは、NFTゲームやメタバースへ投資する香港ベンチャーキャピタルのAnimoca Brandsと協力しブロックチェーンゲームでの選択しを模索してきました。Animoca Brandsの子会社でメタバースプラットフォームで有名な「The SandBox」に出資しており、プラットフォーム内で一部ゲームを提供しています。
暗号資産、NFT市場の縮小
ウォールストリートジャーナルによると、NFT市場は昨年の9月のピークから92%減少し、「横ばい状態」になっています。また仮想通貨の暴落がさらに広がっており、暗号資産市場の時価総額2000億ドルが消し去られました。
11月以降、アクティブウォレットも88%減少しておりNFT市場が縮小しています。
数万ドルで売れたことで有名なNFTは、今では数十ドルから数百ドルで取引されています。
他のゲーム会社のNFT、ブロックチェーン領域への参入
スクウェア・エニックスだけでなく、Ubisoft(ユービーアイソフト)、セガ、コナミ、GameStopなど多くのゲーム会社が、NFT領域に参入しようとしています。
ただ、これまでの所、ゲームにおけるNFTでの成功は、ほぼ皆無です。
Ubisoftは、独自のブロックチェーン/NFT部門を立ち上げ、ゲームアイテムをNFTとしてリリースしましたがファンからの批判が殺到しました。
人気のブロックチェーンゲームのAxie Infinityは、トークンエコノミクスの不安定さにより、Axie経済圏が崩壊しかけています。アクシーのゲーム内トークンAXSは、先月だけで51%下落しています。Play to Earn(稼ぐために遊ぶ)の仕組みの不安定さが、課題として浮き彫りになっています。