概要
・アディダスは、Bored Ape Yacht Clubなどとコラボして、メタバースに参入することを発表しました。
・同社は、Bored ApeのNFTアバターを購入し、それをベースにしたIndigo Herzというキャラクターを制作する予定。
アパレルブランドのアディダスは、Bored Ape Yacht ClubのNFTを購入し、Bored Apeを制作したYuga Labsなどと協力して、メタバースに参入することを発表しました。メタバースとは、ユーザーが所有するNFTのコレクションと3Dの世界を共有して交流するという、未来のインターネットの新しいビジョンです。
アディダスは、ツイッターで「Ape NFT」の外観を公開し、その上にアディダスをテーマにしたアパレルが重ねられている様子や、提携を予告するトレーラーを掲載しています。Bored Ape Yacht Clubに加えて、アディダスは著名なNFTコレクターであるGmoneyや、人気のCryptoPunksにインスパイアされた非公式のEthereum NFT派生プロジェクトであるPunks Comicとも提携しています。
アディダスは、Bored Ape Yacht Club NFT #8774を購入し、Indigo Herzというメタバースのキャラクターに変える予定です。マーケットプレイスOpenSeaを介して公開されているイーサリアムブロックチェーンのデータによると、このNFTは9月に46ETH(当時15万6千ドル強)で購入されました。興味深いのは、購入したBored ApeをTwitterのアイコンにしていることです。
発表に並行して行われたTwitter Spaceの会話では、各関係者がコラボについて説明しました。アディダスの担当者は、今回のコラボは5か月間の準備期間を経て実現したと語り、Punks Comics社のチームは、次週発売されるコミックにNFTが登場すると紹介しました。
メタバースに関する同社の計画はまだ明らかになっていませんが、今回の情報は、Web3.0の流れをさらに加速させる意図があることを示唆しています。一方で、アディダスオリジナルのグローバルマーケティングコミュニケーション部長のErika Decker Wykes-Sneyd氏は、伝統的な企業をメタバースの分散型の世界に取り込むことの難しさについて、企業が組織を運営していく上で、根本的に大きな考え方の変化をもたらすものだと述べた。
Spaceの後のツイートで、アディダスは、メタバースに参入したことを「It’s time to enter a world of limitless possibilities.」和訳「無限の可能性を秘めた世界に足を踏み入れる時が来た」と記し、ウェブサイト上にメタバースをテーマにした専用ページへのリンクを紹介しました。このページの詳細は不明ですが、「メタバースの世界へ まもなく何かが始まる。gmoney、PUNKS Comic、Bored Ape Yacht Clubがアディダスとコラボレート。 メタバースの世界へ突入。さぁ一緒に。」このページには、限定商品にいち早くアクセスできるブランドアプリ「CONFIRMED」にリンクするQRコードも掲載されています。また、アディアダスのメーリングリストに参加するためのサインアップバーも設置されています。
アディダスは、先日イーサリアムチェーン上のメタバースゲーム「The Sandbox」とのコラボも明らかにしました。The SandboxのボードメンバーでもあるMathieu Nazareth氏は、11/30~12/1に開催されたDCentral Miami カンファレンスで、アディダスとの連携を確認しましたが、計画されているアクティベーションの詳細については言及しませんでした。
ここ数週間でメタバースへの参加を急いでいる大企業は、アディダスが初めてではありません。10月には、マークザッカーバーグ氏がFacebookからMetaに社名変更することを発表し、仮想通貨業界でもメタバースの熱狂が起こりました。KuCoinは1億ドルのメタバースファンドを発表し、Solana Ventures, Lightspeed Venture Partners, and FTXもWeb3ゲームファンドに数億ドル規模に投資しています。DecentralandやThe SandBoxなどのゲームも、11月を通してほとんどの市場を凌ぐ速度で成長しています。またGrayscale社は先週、メタバースの価値を1兆ドルとするレポートを発表しました。
Bored Ape Yacht Clubは、メタバース、NFT、Web3への関心の高まりから恩恵を受けています。 Bored ApeのNFTの価値は、4月のプロジェクト開始以来、急上昇しており、現在、流通市場では最も安いものでもイーサリアムで約20万ドルで取引されています。Jimmy Fallon氏、Steph Curry氏、DJ Khaled氏などの著名人もBored Ape Yacht Clubに参加し、自分の猿を購入しています。アディダスのように、彼らもTwitterのアイコンを使って、購入したNFTをフォロワーに披露しています。エイベックスの松浦勝人CEOもTwitterのアイコンを「Bored Ape Yacht Club」の1作にしています。
NFTは、デジタルアイテムの所有権を示す証書のようなもので、Bored Apeのようなプロフィール写真のほか、その他のアートワークやビデオファイルなどを表すことができます。Bored Apeのオーナーは、それぞれのアバターの商品化権を持っており、派生プロジェクトや物理的な商品などを作成・販売することができます。アディダスは、自分のアバターを購入・使用するだけでなく、実際にBored Ape Yacht Clubというブランドと提携しています。
メタバースとは、インターネットの未来像のことで、ユーザーがアバターを使って3Dの没入型世界で交流することが期待されています。プロフィール写真のようなユーザーが所有するNFTの資産は、メタバースが形成される際の重要な構成要素となるよう設計されています。