大手教科書出版社のピアソンは、デジタル教科書をNFTとして販売し、出版社が本の所有権を変えても追跡できるような計画を発表しました。
ピアソンは2021年の売上高が42億ドルで、すでに世界最大級の出版社です。同社の教科書は、世界中の高校、大学、専門学校で使われています。
教科書をNFTで販売しようとする背景
アナログの世界では、ピアソンの教科書は最大7回転売されますが、最初の販売以外は元の出版社は儲かりません。
ブロックチェーンやNFTのような技術によって、出版社が中古品販売で手数料を得ることを期待してのことです。
NFTと電子書籍の相性
NFTは、ブロックチェーンと呼ばれる分散型の台帳に記録することで、一意のデジタルアイテムの所有権を付与するものです。通常、これらのアイテムは画像や動画ですが、この技術により、あらゆるものをこの方法で販売し、所有することができます。
ブロックチェーンは、そのデータベースの分散化を提供しますが、出版社が完全に分散型オープンシステムを使う確率はおよそゼロです。NFTの所有者以外による書籍の海賊版を防止するために、既存のコピー防止スキームを拡張することは、ほぼ間違いないです。
大学生の教科書の購入と転売
また、大学の教科書の製造コスト増による、教科書の値上げで、多くの学生も中古で購入することを選択しています。
また、教科書自体が1冊、何百ドルと高価なため、不要になった教科書を売ることは学生にとって理にかなっています。また、教育関係の書籍は、学生が不要になった学習教材を販売するため、複数回販売されることが多いです。
電子書籍の中古販売の試み
出版社は、何年も前からデジタル中古市場を作ろうとしてきました。しかし、定額の購読サービスとの兼ね合いも難しく、電子書籍の中古販売が普及していません。
NFT活用のメリット
NFTのメリットとして、ロイヤリティという、クリエイターに2次販売、3次販売でも、売上の数%を還元できる仕組みがあります。アーティストやクリエイターは、自分のデジタル作品を最初に販売してから何年も経ってから収入を得ることができます。今回の大学の教科書を出版するもNFTのロイヤリティ技術を活用して、中古販売から利益を得ようとしています。
書籍がNFT化されるデメリット
再販市場が、出版社に有利な方向に傾きすぎる懸念です。
例えば、図書館の電子書籍には、一定の貸し出し回数が過ぎると新しい本を買わなければならないという条件が設定されており、NFTの書籍も同様に再販回数の制限がかかる可能性があります。
メタバースへの進出も言及
ピアソンがさらなる販売収入のためにブロックチェーン技術で選択肢を探る中、同社はメタバースを活用する方法を検討すると付け加えました。
メタバースに進出することは、中期的には儲かるかもしれません。仮想世界の市場規模は、2026年までに500億ドルを超えると予測されています。