出版社のインプレスは7月25日、『いちばんやさしいWeb3の教本人気講師が教えるNFT、DAO、DeFiが織りなす新世界』の販売中止を発表しました。同書は、内容の正確性さについて、Twitterを中心に批判が寄せられていました。
『いちばんやさしいWeb3の教本』は7月20日に発売され、Web3やNFT、DeFiなどの関連技術の特徴や歴史について解説したものになっています。
内容がでたらめとの批判が相次ぐ
7月19日より発売記念キャンペーンとして、本書の第1章と第2章をweb上で無料公開したとろ、内容の誤りに関する投稿がSNS上で相次ぎました。Twitterでは、「Web3」がトレンドトピックになるなど、大きな話題になりました。
内容の誤りについて一部抜粋して紹介
- TCP/IPやHTTPを独占から解放する。
TCP/IP、SMTP、HTTPなどのプロトコルは、独占されているわけではありません。公開されているコンピュータネットワークの通信ルールの一部です。
- Web2のブラウザはChromeやSafari,Web3のブラウザはBrave
Brave自体にも開発元あります。また、Braveは、ChromiumというChromeをベースに作られています。本書の定義だとWeb2、Web3ブラウザどちらにも管理者が存在しているため矛盾しています。今回のテーマだと、Web3は、管理方法ではなく、マネタイズ方法で定義されています。(所説あり)
- ブロックチェーンがOSとして利用される
ブロックチェーンは、ネットワークにおける取引の記録や資産の追跡のプロセスが容易かつ改ざんが困難な「分散型台帳技術」です。パソコンやスマホの基盤となるようなシステムになることはできません。
販売中止までの経緯
- 7月19日、発売前日にキャンペーンとして第一章と第二章を無料公開
- 7月20日に『いちばんやさしいWeb3の教本』が発売
- SNS上で内容の誤りに対する批判が相次ぐ
- 7月25日、販売中止が決定
- また、本の回収や、第1章、第2章の無料公開も中止
出版社(インプレス)の謝罪
出版社のインプレスは、7月25日に公式サイトで、今回の件の謝罪と『いちばんやさしいWeb3の教本』の販売中止を発表しました。
出版社のインプレスは、Twitter上での批判を受け、著者の田上智裕氏に原稿の修正を依頼し、社内でのチェックを依頼しましたが、誤りや理解できない表現を修正・反映した上で販売継続することは困難と判断したようです。
同社では、「制作時に外部専門家による内容のチェックを怠ったこと」が主な原因としています。今後は、内容の検証を徹底し、編集者の知識向上に取り組むとしています。
購入者からの返品については、インプレックスでは、具体的な手続きが決まり次第、発表するとしています。また、改訂版については、未定とのことです、
著者の田上智裕氏のプロフィール
著者の田上智裕 (たがみ ともひろ) 氏は、「Learn to Earn(学ぶほど稼げる)」をテーマにWeb3事業を手掛けてきた若手起業家です。チームラボ、リクルートを経て、2018年に株式会社techtecを設立しました。政府のブロックチェーンに関する有識者会議にて有識者兼オブザーバーとして参画した経験もあります。
リンク集
公式サイト-インプレス ブックス