チケット大手のチケットマスターは、ライブイベント用のチケットをNFTとして発行するために、Dapper Labsが運営するブロックチェーン「Flow」を採用することを発表しました。
顧客は今後、一部のイベントで通常のチケット購入に加え、イベント主催者がチケットに紐づくNFTを受け取ることができます。
NFTチケットの機能とは
NFTチケットは、主な用途は、共有可能なデジタル記念品となりますが、それ以外に、コンサートの出席証明としても使用することができます。
イベント主催者はこのNFTをイベントの前、最中、後に利用できるようにし、ロイヤルティ報酬や有名人のミート&グリートといった特別な体験も可能にします。
ライブイベントのNFTグッズは、ファンの当日の体験を補強するものであると述べています。
デジタルウォレット機能とマーケットプレイスも追加
チケットマスターとDapper Labsの提携の結果は、ウォレットとマーケットプレイス機能をサイトに組み込み、ホルダーはそこでパートナーシップの結果受け取ったNFTを見たり取引したりできるようになるようです。
また、NFTのチケットは、ウォレットアドレスにも対応しているTicketmaster/Live Nationのサイト上のアカウントから、メールやQRコードで他の人に送ることが可能です。
ただ、このNFTチケットは、入場チケットとしては使えません。
チケットマスターは、NFLの試合で実験を行う
過去6カ月間、Dapper LabsとTicketmasterは、特定のイベントの記念品として発行されるNFTチケットの実験を行っていました。これは、今年のスーパーボウルLVIのような特定のイベントの参加者に対して、チケットNFTを記念品としてチケットマスター社が自動的に発行するものでした。スーパーボウルLVI では、7万枚のNFTチケットを鋳造しました。
今後もNFLの試合でNFTチケットが活用
チケットマスターは、NFLとの提携を今シーズンにも拡大し、全32チームの少なくとも3つのホームゲームを含む100試合以上の全観客にNFTを発行する予定です。
既に500万枚以上のNFTチケットが発行される
このNFTチケットの実験では、6ヶ月の間に様々なパートナーを通じて、500万枚以上のフローNFTがmintされたとのことです。
Polygonでも実験していた
チケットマスターは当初、昨年11月にイーサリアムベースのブロックチェーンであるポリゴンと提携し、残りのシーズン中、NFLファンにNFTチケットを発行していました。
Dapper Labsとブロックチェーン「Flow」
「Flow」はDapper Labsが作成したデジタルエンゲージメントレイヤー1ブロックチェーンです。
Flowブロックチェーンは、NBAトップショット、UFC Strike、NFL All Dayなどのようなファンタジースポーツやゲームに関連する人気NFTマーケットプレイスの開発で知られるWeb3プラットフォームです。NBAトップショットNFTは、CryptoSlamのデータでは、2100万以上の取引と総取引量10億ドルを記録しています。
また、昨年はスペインのサッカークラブ、レアル・マドリードと提携し、NFTを発行していて、オーストラリアン・フットボール・リーグ(AFL)、イタリアのセリエA、スペインのリーガ・エスパニョーラなど他のリーグも、デジタル収集品用にフローブロックチェーンを選択しています。
Flow上のNFTの作成は、Google検索やInstagramの投稿よりも少ないエネルギーで行えるとして、環境に優しいという観点でも注目されています。
InstagramでもNFTに紐づけた投稿は、Flowブロックチェーン上で鋳造されます。
分散型ファイルストレージエコシステムであるFilecoinは、昨年10月にFlowの公式ストレージコラボレーターとなりました。
チケットをNFTにするメリット
これまでチケットマスターと結び付けられることが多かった問題を、ブロックチェーンベースのチケット発行によって解決できるかもしれません。ただ、チケットマスターにとっては、マーケティングとして、より多くのファンの関心を集めるのに役立つかどうかを確認するために、Web3に関する可能性を探っています。