JPモルガンのアナリストは、メタバースゲーム市場は中国で爆発的に拡大する可能性があるというレポートを公開しました。
同社は、最も恩恵を受けると思われる中国のインターネット関連銘柄としてTencent、Netease、Bilibiliなどの企業を挙げています。
中国の厳しい規制はアジア諸国でのメタバース発展のリスクとなっています。それでも、メタバース分野が爆発的に成長する可能性は非常に大きいと、株式アナリストは述べています。
メタバースとは、大まかにはインターネットの次の世代と定義され、人間が3次元のアバターを通じて交流する仮想世界として存在するものです。
JPモルガンが公開したレポートの詳細
9月7日に発行されたレポートでは、従来のゲーム会社の多くがすでに参入を試みているメタバースゲーム市場は、440億ドルから1310億ドルに成長し、その価値はほぼ3倍になると推測されています。
また、メタバースに関連するこれらのサービスの市場は270億ドルとなり、デジタル化のさらに貢献し、ビジネスモデルをデジタルに変える準備ができている企業には4兆ドルの市場が開かれることになるのです。
中国でのメタバースの市場が拡大するうえでの課題とは?
中国を中心にアジアの国のメタバース開発は、規制の監視という独自の課題に直面しており、JPMorganのアナリストは9月7日のレポートでこの点を指摘しています。メタバースの主要な要素である暗号通貨は、中国国内で禁止されています。
またアナリストは、バーチャルリアリティのデバイスは現在、長時間使用するには重すぎるし、クラウドコンピューティングの能力とメタバースコンテンツは依然として限定的であると述べています。
JPモルガンが注目する中国市場メタバース銘柄
このセクターでの同社が最も注目しているのは、Tencent、NetEase、Bilibiliです。また、アジアの非インターネット企業では、Agora、China Mobile、Sonyといった企業を挙げています。
これは、ゲームやSNSなど、特定の分野における企業の競争力に基づいています。
Tencent
Tencentは、インターネットゲームと人工知能サービスを提供するコングロマリット企業で、Tencentはバーチャルワールドゲーム会社のRobloxに出資しています。
Tencentは、「Tencent Meeting」というテレビ会議アプリも運営しています。
アナリストはテンセントを「中国最大のソーシャルネットワークWeixin/モバイルQQの運営で豊富な経験」を持っており、これらのプラットフォーム内での仮想アイテム販売で利益を得ることができると述べています。
Netease
Neteaseは、中国のゲーム大手会社です。NetEaseはハリーポッターをテーマにしたモバイルゲームでWarner Bros.と提携しています。また、NetEaseがすでに「Yaotai」というバーチャル会議室システムも運営しています。
Bilibili
Bilibiliは、このアプリが35歳以下の中国人にとって「お勧めの娯楽プラットフォーム」であり、第1四半期に各ユーザーがこのプラットフォームで1日平均95分費やしていると指摘しました。
Bilibiliは、「高いユーザーエンゲージメントにより、長期的には[付加価値サービス]/仮想アイテム販売で豊富なマネタイズの可能性を獲得することができる」とアナリストは述べています。
その他の会社
JPモルガンのアナリストは、銘柄を挙げずに、BaiduのバーチャルXiRangワールドや、Baiduを支援するiQiyi、NetEase、Bilibiliによるバーチャルリアリティ開発など、中国で進行中のメタバースプロジェクトについて説明しました。
企業がメタバースで儲ける方法とは
メタバースの発展に伴い、企業が儲けることができる主な方法は以下の2つであるとアナリストは述べています。
- ゲームと知的財産
- ビジネスと消費のデジタル化
今後、人々の行動やビジネスのあり方を大きく変えると考えていることがメタバース市場が増えることにつながるとされています。人々がオンラインで過ごす時間は、金融機関の試算によると現在の平均6.6時間の2倍になると予想されています。
また、企業はインターネットユーザー1人当たりにより多くの収益を上げることができるようになると予想しています。
JPモルガンは、メタバースにおけるTo B事業やソフトウェアの中国での対応可能な市場規模は270億ドル、オフラインでのモノやサービスの消費をデジタル化すると、中国では4兆ドルの市場が形成されると予測しています。