OpenSeaの元プロダクトマネージャーであったNathaniel Chastain氏がインサイダー取引で起訴、逮捕されました。同氏は昨年9月にインサイダー取引が明らかになり、OpenSeaで職を解雇されましたが、今回の起訴は、このスキームに関連する最初の刑事告発になります。
米検事局によると、どのNFTがOpenSeaのホームページで紹介されるかという機密情報を、個人的な金銭的利益のために利用し、インサイダー取引を行なったとする明らかな計画から生じていると声明は付け加えています。
インサイダー取引の手口
OpenSeaに在職中、Chasatin氏はどのNFTコレクションをトップページに掲載するかを決定する責任者でした。同氏は、この情報を使って、紹介される直前にNFTを密かに購入したとされます.
累計11回に渡り、45個のトークンを購入しました。その後、「購入価格の2倍から5倍」の利益を得て売却し、匿名のデジタル通貨ウォレットとOpenSeaの匿名アカウントを使用して「詐欺を隠蔽」していたようです。
インサイダー取引が発覚した理由
チャスティン氏が行なっていた疑惑の取引は、当時から注目されていました。全ての取引がブロックチェーンと呼ばれる公開データベースに書き込まれるNFT市場のオープンな性質のおかげで、オブザーバーは2021年9月に誰かが疑わしいタイミングでデジタル資産を購入していることに目をつけていました。また、彼の取引は、イーサリアム・ブロックチェーン上で彼の取引を分析した他のNFTバイヤーによっても発見されていました。
逮捕までの経緯
Chastain氏の逮捕は、25人以上の暗号資産専門家のグループが、米国議会に対して、この分野の規制強化を求める意見書を提出したことを受けてのことでした。意見書には、「我々は、技術革新に対して真に責任あるアプローチをとり、米国やその他の地域の個人が、存在しない技術的可能性の名の下に、略奪的金融、詐欺、および体系的な経済的リスクにさらされないことを強く求めます」と同グループは書いています。
今回の事件の捜査は、FBIの全米暗号通貨執行チーム(NCET)が主導し、通常インサイダー取引事件を担当する米国証券取引委員会の関与はなかったようです。SECは最近、暗号資産市場で不正が多発しているとして、暗号資産取締りの人員を2倍に増やしました。
インサイダー取引後のOpenSeaによる対応
OpenSeaは、疑惑が正当なものであると判断し、すぐにChastain氏を解雇しました。同社は、事前にこの種の行動を禁止する具体的なポリシーを持っていなかったと指摘され、その後、新しい従業員規則を制定しています。
新たな従業員規則
OpenSeaのチームメンバーが、コレクションやクリエイターが同社によって紹介または宣伝されている間は、その売買を禁止し、また、OpenSeaで利用できるかどうかに関わらず、NFTを購入または販売するために機密情報を使用することを禁止するなど、新たに2つの社員方針を実施しました。
OpenSeaによるコメント
OpenSeaの広報担当者は次のように述べています。
「Nathaniel氏の行動を知ったとき、我々は調査を開始し、最終的に彼に会社を去るように求めました。彼の行動は、当社の従業員ポリシーに違反し、当社のコアバリューと原則に真っ向から対立するものでした。」