メタとクアルコム、次世代ヘッドセット用のカスタムチップ開発を提携 Appleに対抗

画像引用元:Canva

メタは最近、モバイルチップ企業のクアルコムと提携し、メタバース市場向けのチップを製造することを発表しました。

メタクアルコムは、「Quest製品の将来のロードマップ」や「その他のデバイス」向けにクアルコムのSnapdragon XRチップのカスタムバージョンで提携することを約束した複数年契約を締結しました。

クアルコムとは?

クアルコムとは、スマートフォン用プロセッサの大手プロバイダです。ARおよびVRヘッドセットでの使用に最適な同社のSnapdragonモバイルプロセッサのバリエーションを推進することにより、XR分野に早くから参入しています。

クアルコムは3月に1億ドルのメタバースファンドを立ち上げ、バーチャルリアリティとメタバースのベンチャー投資に資本を投下しています。クアルコムのCEOは、メタバース産業は「非常に大きな」機会となり、新たな市場を生み出すと述べています。

画像引用元:クアルコム

開発されたチップが使われるメタの製品

メタは、これまでに発売したすべてのスタンドアロン型ヘッドセット(Go、Quest、Quest 2)にクアルコムのプロセッサを採用しており、近日発売予定のProject Cambriaヘッドセットにも同様のものを採用すると見られています。

Appleに対抗

メタクアルコムが協力する背景として、Appleという共通の脅威に対して対抗がという側面があります。

AppleはXR製品に独自のカスタムプロセッサ(俗に「Appleシリコン」と呼ばれる)を使用することが確実視されています。そうすると、XRの分野でAppleのシェアが高ければ高いほど、クアルコムが販売するSnapdragonチップの数は少なくなるという可能性が高いです。

Appleは長い間、スマートフォン向けに独自のカスタムプロセッサを製造しており、コモディティチップを使用する競合他社よりも優位に立ってきました。また、ここ数年、AppleはPC製品に搭載する自社製チップのためにサードパーティ製プロセッサを段階的に減らし始めており、同社のマイクロプロセッサの設計および製造能力が成熟していることを示唆しています。

提携するMeta社、クアルコム双方の狙いとは

メタにとって、クアルコムとの提携は、XRデバイスに高度に特化したチップを製造できる強力な味方を得ることで、戦略的な脆弱性を補強するものです。

クアルコムにとっては、メタとの提携は、AppleがXR市場を容易に独占し、Apple以外のさまざまなXRデバイスメーカーにチップを販売する機会を奪うことがないようにするための取り組みです。

この契約により、XRにおける両社の共同リーダーシップのもと、クラス最高のデバイスとエクスペリエンスを提供し、完全に実現されたメタバースにおける働き方、遊び方、学び方、作り方、つながり方を変革することが可能になります。

この複数年契約は数字なしで開示され、プレスリリースでは、両社のエンジニアリングチームが共同VR目標を達成するために協力関係を深めていくとしています。

この新しいパートナーシップは、より伝統的なモバイルタスクのために設計されたチップと比較して、性質が異なるメタバース開発を促進するため、より高度な設計を持つチップを製造しようとしています。

この発表は、クアルコムが今後数年間にわたってメタを最優先の顧客とし、同社に多くの時間を割き、クアルコムの将来のSnapdragon XRチップに対してより大きな影響力を与えることを約束するものだと思われます。また、XRというSF的なビジョンを実現するには、一般的なコンピューティングアーキテクチャを完全に見直す必要があるとメタは考えており、この点でも両社は共同でプロトタイピングを行うことになりそうです。

最終的にこの提携は、両社がいつか数兆円規模になると予想する市場において、早い段階から地歩を固めるための作戦と言えるでしょう。

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