経済産業省は7月15日、「Web3.0政策推進室」を内閣官房に設置することを発表しました。
発表によると、「Web3.0政策推進室」は、事業者、投資家、法曹関係者、技術者等から海外と日本のビジネス環境の課題に関する情報を収集し、デジタル庁など関係省庁と連携してWeb3.0に関するビジネス環境の整備に取り組むようです。
Web3.0が期待される理由
ブロックチェーン上でユーザーが自らのデータを管理・活用し、暗号資産やNFTなどのトークンをベースに新たな価値を創造する動きが世界的に活発になっています。また、また、メタバースはZ世代などの若者を中心に個人の新しいインターフェースになりつつあり、デジタル空間の比重が高まり、そのビジネス価値が飛躍的に高まる可能性があります。
Web3.0政策推進室の業務とは?
資金調達、税制、事業体など事業環境を担当するや、コンテンツ、スポーツ、ファッションなど産業分野を担当する課室とコンテンツ、スポーツ、ファッションなど産業分野を担当する課室が、デジタル庁など関連省庁と連携して対応するようです。これによって、ブロックチェーンに基づくWeb3.0に関する事業環境課題の検討体制を強化します。
Web3関連ビジネスに取り組む起業家が日本から流出する中、ビジネス環境を加速させるという目的から「Web3.0政策推進室」が立ち上げられました。今後は、経済産業省では、省内に分散する関連部署と連携し、Web3.0に関連する政策立案を行っていくようです。
日本が抱える現行制度の問題点
政府としては、「経済秩序の激変期における経済産業政策の方向性」というレポートでWeb3.0領域における問題点をいくつか挙げています。
- 企業が発行・保有するトークンは含み益とみなされ、法人税の課税対象となる点
資金不足のスタートアップ企業が、資金調達や意思決定プロセスでトークンを利用することが困難になる。
- 個人の仮想通貨による所得は雑所得とみなされ、最大55%の総合課税の対象となる点
株式のキャピタルゲイン課税は約20%
- 仮想通貨に関する会計基準があいまいなため、仮想通貨を保有する企業は監査法人によるチェックが受けられず、適切な意見が受けられない。
上場企業の市場参入が困難になっています。
- 多くのVCは投資事業有限責任組合(LPS)という形でファンドを組成してスタートアップ企業に投資していますが、LPS法では仮想通貨やトークンは投資対象として明示的にリストアップされていないのが現状。
- 他人が作成したコンテンツを第三者が勝手にNFTに変換するケースもあり、NFT・メタバースに関する権利関係はまだ整理が進んでない。
国によるWeb3に対する動き
6月に閣議決定された「骨太の方針2022(経済財政運営と改革の基本方針)」において、Web3.0、ブロックチェーン、NFT、DAOに関連する内容が盛り込まれており、政府としてもWeb3.0推進のために環境整備を検討しているようです。
大臣官房のWeb3.0政策推進室では、今年8月末までに、Web3.0のポテンシャルやリスクを正確に把握したうえで、必要な項目の整理を進める意向を示しています。